友人からのすすめでモーガン・ハウセル著;「サイコロジー・オブ・マネー一生お金に困らない「富」のマインドセット」という本を読みました。
ここ数年で最高かつ、最も独創的なお金の本(ウォール・ストリート・ジャーナル)という評価のようです。
内容は一般的な投資本とはちょっと異なり、投資で成功するには頭の良さではなく、どのように振る舞うか=「サイコロジー・オブ・マネー(お金の心理学)」というソフトスキルを身につけることが大切というものでした。
本書は20章にかけて「サイコロジー・オブ・マネー(お金の心理学)」がいかに投資で重要なのかが解かれています。
その中で具体的な投資行動は以下の2点に集約されます。
- インデックスファンドに積立投資する
- 裕福であり続けるために倹約を続ける
結論だけ見るとどこかで聞いたことがある内容ですね。
それぞれを「サイコロジー・オブ・マネー(お金の心理学)」の観点から見ていきましょう。
インデックスファンドに積立投資する
本書ではインデックスファンドへの積立投資の有効性が定量的に解説されています。
例えば1900年から2019年にかけての投資行動を以下の3つで比較します。
- 毎月1ドルずつ積立投資
- 毎月1ドルずつ積立投資→景気後退時は売却→底入れ後再投資
- 毎月1ドルずつ積立投資→景気後退半年後に売却→底入れ半年後再投資
いずれのパターンも投資額は同じです。
なんとなく高い時に売り逃げて、安い時に買いまくるパターン2が理想的ですね。
今の下落相場でも一度売却して、大きく下落した後に買い戻そうと企んでいる人も多くいることでしょう。
で、上記の結果はどうだったかと言うと、
- 435,551ドル
- 257,836ドル
- 234,476ドル
要は何も考えず積立投資した人が強かったと言う結果です。
ほぅほぅ、ならば市場の状況やタイミングなどを考えるのは無駄だと言うことです。
でもどうしてもパフォーマンスを上げようとして、なんとか最適な投資をしようとするのが人間というもの。
それが大衆心理であり、大抵の人が必然的に落ちいる間違いなのかもしれません。
また私が投資を始めたばかりの頃は個別株を調べて自分なりのポートフォリオを組み、インデックスに勝とうともがいていた時期もありました。
でも一時的には良かった時期があったものの、結局はインデックスには勝てず(以下記事)。
そもそも世の中には失敗で溢れており、一部(テールイベント)の成功により成り立っています。
それは
などにも見られる現象です。
であれば個人の力で優良な株(倒産しない企業かつ利益を上げ続ける企業)を選び続けるというのは至難の技であり、インデックスのほうがパフォーマンスが良いというのはなんとなく分かります。
裕福であり続けるために倹約を続ける
通常資産を持たない状態から裕福になるには、リスクをとる必要があります。
大きなリスクを取れば取るほど早く裕福になる可能性はあります。
ただリスクを大きく取れる人ほど裕福になっても更なる高みを目指しアドレナリンは全開で、リスクを取り続ける可能性があります。
成功には運の要素も強く、いつまでも成功し続ける保証はありません。
先ほど書いた起業10年後に生き残る企業は全体の1割という例に見られるように、一時的に成功してもしばらくすると破産というパターンの方が多いのでしょう。
人間の進化の過程を考えてみても、生き残ったのは常に動物に襲われる危険を敏感に感じ、油断することなく、不安を感じていたホモサピエンス達です。
この教訓は現代の投資にも同じことが当てはまり、投資で裕福になったとしても、慢心することなく倹約を続けられる人が裕福であり続けられます。
これは実は億万長者は普通の地域にひっそりと暮らしていることを明らかにした本「となりの億万長者」につながるものがあるのかもしれません。
本書でも以下のように述べられています。
裕福さを保つ方法は1つしかない。それは、倹約と心配性の組み合わせだ。
こう考えると、私たちの心の中にある漠然とした不安感はDNAを通して脈々と受け継がれてきた祖先からの贈り物かもしれませんね。
まとめ
普通の投資本当は少し違った「サイコロジー・オブ・マネー(お金の心理学)」という観点から投資を考えた本でした。
本書では、目的のない貯蓄の価値として「人生を自分でコントロールしているという感覚。それが最大の価値。」と述べられています。
目的のない投資の先には「人生の自由な選択肢」という一握りの人しか味わえない幸福が待ち構えているのかもしれません。
目指す価値はありそうです。
じゃ。
資産運用についてHP風にまとめてます→くわにゃんの長期資産運用