前回は海外ETFに投資するメリットを解説しましたが、今回は海外ETFに投資するデメリットについて解説したいと思います。
■海外ETFに投資するデメリット
私が考える海外ETFに投資するデメリットは以下の3点です。
- 分配金に2重課税される
- 為替リスクを受ける
- 売買手数料とドル変換手数料と手間がかかる
分配金に2重課税される
海外ETFに投資する際の大きなデメリットは、ETFからもらえる分配金に二重課税されるというものです。
「二重課税ってなんだ?」って疑問に思いますよね。
二重課税というのは、米国のETFに投資した場合、米国の税金(約10%)と日本の税金(約20%)がダブルでかかり、合計で30%近い税金がかかるというものです。
「投資信託のように分配金をもらわずに再投資すればいいんじゃないか?」と思う人もいるかと思いますが、ETFに投資した場合は分配金を必ず受け取る必要があり、分配金を受け取る度に必ず税金を払う必要があります。
これが海外ETFに投資する際におこる2重課税問題です。
ただ2重課税で支払った税金のうち、米国課税分については確定申告すればある程度戻ってきます。
私は2重課税問題があるので毎年確定申告していますが、確定申告をしたことがない方にとってはめんどくさいことこの上ないですね。
私もできれば確定申告はしたくありません。
ちなみに私が試算したところ、海外ETFの経費率の安さとこの2重課税問題を考えると、海外ETFと投資信託の成績は大体同じになります。
為替リスクを受ける
続いては海外ETFは為替リスクをもろに受けるという点です。
私が投資している海外ETFは全てドルで投資をするため、ETFの価格の上下に加えてドルの価格の変動の影響も受けます。
例えば10万ドルの資産(1ドル100円なら1000万円)があるとしてドル円レートが100円→90円に円高が進んだ場合は、
・10万ドル×(−10円)=−100万円
の損失になります。
為替の変動だけで10%も資産価値が変わってしまうということです。
円高に進んだ場合はマイナスになりますが、海外ETFに投資するメリットの記事で書いた通り今後は緩やかに円安方向に進んで行くと予想しているので、ドルで保有することがプラスになる可能性があります。
日本の株式や債券に投資する投資信託であれば為替リスクはありませんが、海外に投資する投資信託は海外ETFと同じように為替リスクは受けます。
売買手数料とドル変換手数料と手間がかかる
売買手数料
最近はつみたてNisa制度の普及により、売買手数料が無料である投資信託が多くなりました。
その一方で海外ETFを買う場合には、私が使っているSBI証券だと売買手数料が買い付け金額の0.45%かかってしまいます。
例えば10万円分の海外ETFを買う場合には、450円分が手数料としてかかります。
そんなに大きな金額ではありませんが、投資信託が無料だとすると勿体無いですね。
数年前までは海外ETFや株式を購入するのに1回の取引で最低でも5ドルかかっていたので、少額で取引する場合は無駄な手数料を払っていました。
今は最低取引金額が撤廃されたので、少額であっても0.45%しか払わなくてよくなったので、制度的には改善されてきています。
手数料については各証券会社ともどんどん安くなる傾向なので、投資家にとってはありがたい投資環境になってきています。
ドル変換手数料
投資信託で投資するには日本円でそのまま買うことができますが、海外ETFに投資する場合は、以下の手順に書くように日本円と米ドルに変換する手間が余分に必要になります。
①日本円をドルに変える
②ドルで海外ETFを買う
③海外ETFを売却してドルを受け取る
④ドルを日本円に変える
めんどくさいですよねー。
投資信託だと買って売るだけの作業が、米ドルがかむことで余分な手間がかかります。
しかも米ドルに変換するときに手数料がかかります。
米ドルに変換するときにかかる手数料は証券会社によって異なりますが、私が使っているSBI証券だと片道4銭の手数料がかかります。
片道4銭というのは100万円投資する場合で片道(日本円→米ドル)400円の手数料、往復(日本円→米ドル、米ドル→日本円)で800円の手数料がかかります。
これが為替手数料です。
■まとめ
海外ETFに投資する際のデメリットについてまとめました。
主には余分な手数料がかかるというものですが、各証券会社の傾向としては手数料を安くする方向にいっているので、今後さらに改善されてくる可能性はあります。
ただ投資信託と比べると「手間」という点では海外ETFの方がめんどくさいというのは否めません。
トータルコストとしては投資信託も海外ETFもあまり変わらないので、手間をかけて純資産規模が大きく安定感がある海外ETFをとるのか、いやいやもっと簡単に投資がしたいと投資信託をとるのか、メリットとデメリットを天秤にかけて選んでみてはいかがでしょうか。