今回の記事では私が昔運用していて大きな損失となった「トラリピ」について、何があったのか冷静になった今振り返ってみたいと思います。
■トラリピとは
FXが各国の通貨のやりとりであるため、基本的に先進国通貨同士であればある一定の幅で上下を繰り返すという特徴があります。
例えば私たちに馴染みの深いドル円のチャートだと以下のような感じです。
チャートの期間は2000年6月〜2021年5月です。
チャートは覗いてみると分かるように細かいアップダウンを繰り返しながら、右肩上がりになったり右肩下がりになったり大きな波のように動きます。
このチャートの動き方を見て、
「投資なんてちょっと利益が出たら利益を確定し、下がれば買い直し、また利益が出たらすぐに売ってを繰り返せば簡単に利益が出るんじゃないか?」
と思ったことはありませんか?
その考えを自動化したのがトラリピです。
トラリピはマネースクエアが開発したシステムですが、他のFX会社も似たようなシステムを色々と提供しているので、今では人気のあるサービスです。
私も2018年ぐらいから一攫千金を狙って虜になりました。
トラリピというのは、まず自分で相場がどれぐらいの幅で動くかを予想します。
例えば下図の赤線のような感じです。
次に売買を繰り返す幅(トラップ幅)を決めます。
次の図の点線がトラップ幅です。
この2つの設定をするだけでトラリピが自動的に運用をはじめ、トラップ幅分相場が動くとその分利益が100円とか入ってきます。
運用上やることはこれ以上なく、非常に簡単です。
寝ている間も勝手に相場は動くので、起きてからスマホをチェックすると10回利益になりました的なメールが入っていることもありました。
これはインデックスの積立投資というなにもすることがなく、かつ利益も数年先にならないと出ないというつまらないものとは打って変わって、トラリピは毎月の利益が明確にでるので運用していて楽しいという感覚がありました。
コツコツと稼げる良いシステムで、「使い方次第では年利10%も楽勝じゃね?」と思いながら運用していました。
■トラリピで失敗した理由
ところがそんなに甘い話はありません。
トラリピはいかに相場がどの範囲で動くかを予想し、効率よく稼ぐかという投資手法です。
相場の動きが想定から外れてしまったり、レバレッジが高くなり過ぎれば、大きな損失になります。
例えば先程のドル円チャートの例では、レンジを大きく取りましたが、実際にあれぐらいの大きなレンジだとレバレッジが高くなったり、利益がすごーく少なくなったりします。
なので実際は次の図の緑線のようにレンジを狭くして、効率よく稼ぐことを考えます。
このレンジで相場が動いているうちは良いのですが、このレンジから外れると大きな損失になる可能性が高くなります。
例えばこの緑のレンジは2016年以降の5年ぐらいのチャートの値動きから決めていますが、この緑のレンジを外れない保証は当然ありません。
しかし、私の場合は実際に運用していると月間の利益率に目が眩み、冷静な判断ができなくなりました。
自分では管理できているつもりでもハイリスク・ハイリターンの投資になっていたということです。
実際の損益としては運用を始めて3ヶ月ぐらいは順調でした。
棒グラフが利益を確定した分で折れ線グラフが損失ポジションの含み損を考慮した評価益です。
この時点でトラリピを全て辞めれば6万円ぐらいの利益になったということです。
この後含み損は拡大します。
トラリピを運用して1年後の成績です。
はじめは毎月ちゃりんちゃりんと小金が入ってくるのは心地よかったものの、この頃には利益は良いから、せめてプラスマイナス0にしてくれと祈るような思いでした。
トラリピで損失になった理由は、相場を読むことができないのにFXで利益を上げることができると勘違いした点と、レバレッジを大きくしすぎたことです。
トラリピは相場を予測する必要がないとも言われたりしますが、安定的に株式投資を上回る利益を得るには、相場を読んで効率の良い設定にしないと難しいと私は思います。
■資産運用が苦痛に
トラリピで運用している時思っていたことは、
【利益が出ている時】
- もっと利益が増えないか?
- レバレッジをもっと高くできないか?
【損失が出ている時】
- いくらまで損失が膨らむのか?
- 相場は自分の思った方向に行かないのか?
- 仕事中もチャートが気になる
- 仕事が手に付かない
というように私の場合は利益が出ていても、損失になっても仕事に集中できず、ストレスを抱えるようになりました。
気がつけば私にとってトラリピの資産運用が苦痛になっていました。
インデックスの積立投資のように損失をチャンスとして受け入れるような悠長に構えることはできませんでした。
■まとめ
過去に犯したトラリピの損失体験についてまとめました。
あくまで私の体験ですので、反面教師として見ていただければと思います。
私が資産運用についてまとめたHP→くわにゃんの長期資産運用