こんにちわ。
- 産業革命によって起こったエネルギー革命
- エネルギーを制する国が世界の覇権を制する
という点について書いてきました。
今回の記事でようやく脱炭素の流れは世界のエネルギー(=覇権)争奪戦という点について書きたいと思います。
日本はかつて再生可能エネルギー先進国
京都議定書というものを知ってますか?
かつて学生だった私でも何度も耳にした言葉です。
京都議定書というのは1997年に京都で開かれた国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP3)において
「CO2排出量を減らそうぜ」
と取り決めた約束です。
日本で取り決められたこともあってか、日本はかつて太陽光発電などの再生可能エネルギーの先進国でした。
太陽光発電といえばシャープ!と言えるぐらい。
実際に2005年時点の太陽光パネルのシェアは日本が世界の半分を占めており、ぶっちぎりの一位でした。
2005年時点の太陽光パネルのメーカー別シェアを見ても、TOP5のうち4社は日本のメーカーが占めていました。
順位 | メーカー | 国 | シェア |
1位 | シャープ | 日本 | 24.80% |
2位 | Qセルズ | ドイツ | 9.30% |
3位 | 京セラ | 日本 | 8.20% |
4位 | 三洋電機 | 日本 | 7.20% |
5位 | 三菱電機 | 日本 | 5.80% |
シャープのシェアが圧倒的ですね。
世界全体の1/4も占めています。
でも当時は京都議定書といっても、
「何それ?そんなのやって得するの?」
という雰囲気で、他の国は一生懸命やってないような感じでした。
そして日本政府としても太陽光よりは原発のほうに力を入れて、日本の再生可能エネルギーは宙ぶらりんに。
またアメリカではオバマ大統領が「グリーン・ニューディール」という環境政策を打ち出したものの、世の中の後押しもなく空振りに終わりました。
潮目が変わった中国の脱炭素宣言
京都議定書では途上国の排出量削減が含まれていませんでしたが、今度は2015年にパリで開かれたCO2削減に関するCOP会議で「パリ協定」が結ばれました。
パリ協定では、締結国だけで世界のCO2排出量の8割以上、159カ国をカバーするものでかなり実効性のあるものとなってきました。
まだまだCO2を排出し成長したい中国やインドなどの途上国が参加したことで、脱炭素に対する世の中の流れが変わり始めました。
「パリ協定?なんだそれ、そんなのカンケーねー。そもそもCO2と気候変動関係あんのか?」
状態。
しかし中国はそんな中でも再生可能エネルギーのシェアを虎視眈々と伸ばしていきました。
気がつけば日本の太陽光パネル生産は1%にも満たないようになり、ほとんど中国に独占されている状態です。
メーカー別に見てもTOP5は全て中国のメーカーに。
順位 | メーカー | 国 |
1位 | Longi | 中国 |
2位 | Tongwai Solar | 中国 |
3位 | JA Solar | 中国 |
4位 | Aiko Solar | 中国 |
5位 | Trina Solar | 中国 |
太陽光パネルの発電効率などの性能は日本のシャープが優っていたものの、価格面で圧倒的に安い中国メーカーに完全にやられてしまいました。
Wikiに太陽電池の年間生産量の推移があったので掲載します。
このグラフを見ると2007年には日本に中国に追い抜かれており、その後圧倒的な勢いで中国の太陽電池シェアが伸びています。
そんな中、2020年9月中国が国連総会の演説で、
「2060年までにカーボンニュートラルの実現に努める」
と表明。
これによって世の中は一気に脱炭素の流れとなりました。
世界の先進国はまさかこのタイミングで中国がカーボンニュートラルを表明するとは思っていませんでした。
なぜなら、中国はCO2排出量が世界1位だから。
アメリカも本気になった脱炭素
大統領がトランプ氏からバイデン氏に変わり、真っ先に表明したのが脱炭素です。
前回の記事に書いたようにエネルギーを抑えた国が世界の覇権を握ってきました。
このまま脱炭素になれば、エネルギーを抑えるのは再生可能エネルギー市場で圧倒的なシェアを握る中国になります。
やばいと思ったアメリカが打ち出したのが、再生可能エネルギー分野への200兆円の投資でした。
日本の2兆円とは危機感も投資額も桁が違います。
なぜなら世界の覇権がかかっているから。
ようやくアメリカも本気になったことで、世界全体が脱炭素に向けて動き出したというのが現在の流れです。
まとめ
3回にわたって、脱炭素社会についてまとめてみました。
思うのは50年、100年も先を見て国の政策を決めている中国は政策にまとまりがあるという点です。
いろいろと批判はあるだろうけど。
日本もちょこちょこ政権争いなんかしている場合ではありません。
そんな日本の対応に業を煮やして立ち上がったのがトヨタの社長です。
自らがCMに出て日本の現状をなんとかしようとしています。
このままいけば脱炭素に遅れをとっている日本で造った製品は売れなくなり(カーボンクレジットを海外から買う必要があり、製品が高くなる)、経済・雇用もダメになってしまうから。
脱炭素は表面上は
「地球の環境が悪くならないようみんなで協力して取り組もう」
というものですが、その実はエネルギー革命であり、世界の覇権争いです。
環境対策では先行していると言われる欧州もその座を狙っています。
さて今後世の中はどうなりますかね。
じゃ。
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