昨今はカップラーメンの値段が上がったり、ユニクロのフリースの値上げが発表されたり世界的にインフレが進み問題になっています。
このインフレは以下の記事に書いたように世界的な金余りとコロナによる供給力の低下、ウクライナ問題などが原因で起きています。
でもそもそもはグローバル化が進む中で世界的にはデフレ傾向でした。
日本では1990年代のバブル崩壊以降、デフレが当たり前でなかなかインフレには馴染みがありません。
今回の記事は2000年以降急速に拡大したグローバル化と、そこから生まれる弊害から保護主義と言われる反グローバル化へと変化していった現状を世界経済を俯瞰的に見るためにまとめます。
2000年以降急速に進んだグローバル化
グローバル化というのは世界が一つにつながっていくということです。
グローバル化すると人・モノの移動が自由になり、関税を下げることで自由貿易が拡大します。
先進国は人件費が高く、国内でモノを造ると高くなってしまうので、人件費の安い途上国に工場などを移し、現地で生産するようになります。
それによって安く製品を造り、自国には安いモノを輸入できるようになります。
世界のグローバル化は1991年のソビエトの崩壊やEUによるヨーロッパ統一などにより拡がってきました。
決定的だったのは2001年に中国がWTO(世界貿易機関)へ加盟したことでした。
これは当時アメリカのブッシュ大統領の元で進められ、閉塞的だった中国に対して市場の自由化を促すためでした。
これによって中国は世界の工場と言われるぐらい世界中から企業が集まり、GDPは飛躍的に上昇し、今や世界第2位の経済大国となりました。
以下の中国のGDPを見ると2001年以降飛躍的に伸びているのが分かります。
もちろんグローバル化にともない先進国にも先ほど書いたように安く製品を造れるというメリットがあります。
アメリカの物価の推移を見ると2000年以降インフレ率が下落傾向であるのが分かります。
世界は反グローバル化へ
人・モノの移動が自由になり世界の貿易額を飛躍的に増やしたグローバル化ですが、弊害もあります。
代表的な例として以下のようなものがあります。
- 格差の拡大
- 移民問題
- 産業の空洞化と技術流出
グローバル化によって大きな恩恵を受けるのは工場などが造られる発展途上国です。
以下のグラフのように発展途上国と先進国ではここ20年で工業生産量に大きな格差が生まれました。
先進国の工業生産量がほとんど伸びていないのに対して、新興アジア諸国は20年で4.5倍にまで増えているのが分かります。
また最近、所得格差という言葉をよく聞くかと思いますが以下のグラフを見るとその状況がよく分かります。
このグラフを見ると、結局グローバル化によって利益を得ているのは新興国と上位1%のスーパーリッチたちだというのが分かります。
中間層は所得が増えていないので、ほとんどの人にとってはインフレが抑えられている程度の恩恵だけだということですね。
デメリットとしては賃金が増えない、仕事は途上国や移民に取られるなどなど。
企業としてはグローバル化した以上、途上国で生産しないと価格競争に負けてしまうため、そうせざるを得ません。
またもう一つ大きな問題として、自国ではなく途上国に工場を建てて現地生産することで起きる産業の空洞化と技術の流出があります。
iPhoneも高性能なPCも全て他国で生産することで高度な技術はダダ漏れ状態。
これらの状況に危機感を持ったのがトランプ氏でした。
実際中国のWTO加盟の際には自由貿易を期待したアメリカですが、そうはならなかったと批判しています。
最近はEUでもイギリスのEU離脱などが起きており、世界的には反グローバルの流れとなってきました。
ところで誰がこのグローバル化を求めたんでしょうね。
大きく利益を得た人たちでしょうか。
いずれにしてもこれからは長く続いたグローバル化の流れから保護主義と言われる反グローバルへと緩やかに進んでいきそうです。
そうなると基本的にはインフレ方向ですね。
日本もそろそろインフレ社会に突入していくかもしれません。
じゃ。
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